ワーママにとっての業務量の臨界点
先日、あるワーママとランチをしながら話をしていて、改めて思ったことがありました。
ワーママにとって、ある一定の業務量を超えると崩壊する、という閾値というか臨界点みたいなものがあるな、と。
ちなみにその方は、よく表彰もされるような非常に優秀な方で、直近は人材業界で営業をされている方です。
20代前半で出産を経験されていて、現在は30代前半になっているので、もうワーママ歴も私よりも断然長く10年くらいになると思います。しかもシングルマザー。なので、それこそ、20代で社会人経験もさほどない頃からかなりの努力と試行錯誤を繰り返して、ビジネスマンとしてもハイパフォーマーになったような百戦錬磨の方です。
私が、今の会社でもすごい実績だしてるみたいだね!と言ったら、その方からこう返ってきたんです。
「会社の方針が変わって業務量がすごい増えてから、目標達成するのも諦めた」
・・・!!!!!
うっそ!まじか!
こんな優秀な人でも諦めてしまうことってあるんだ、と。
私が知っている彼女、一緒に働いていたときの彼女は、定時の18時ぴったりで帰っていても、絶対に仕事を諦めてたこともないし、他の人以上の成果もしっかり出していたんです。成果へのこだわりはすごく強くて、帰宅前の数時間の集中力なんかものすごかった。仕事に手を抜いているところなんか見たことがない。
(しかもシングルマザーでもあったので、退社してからさらに副業とかするような、パワーもエネルギーもあるような方です)
そんな彼女が「達成を諦めた」って言ったんです。
で、思いました。
何かを諦めざるを得ない、臨界点があるんだな、と。
思えば、私の周りの死ぬほど優秀なワーママでも、仕事と子育てを両立するために「諦める」という言葉が適切でもないですが、「取捨選択」しているんですよね。
パッと思いつく方でも、例えば、
MBBの戦略コンサルでゴリゴリのコンサルタントだった女性が、出産後コンサルタントとして復帰したものの、このままではあなたが崩壊すると上司にも言われて、社内でコンサルタントではないポジションに変更したり
あるテレビ局で深夜まで働いていたような女性が、子どもの様子が変わったことを機に管理系ポジションに自ら異動して10-17時の時短で働いていたり
一般的にはバリバリに見えて、仕事もこなしてきたような女性でも、(恐らく仕事だけを考えれば不本意な)選択をした方を知っています。
もちろん、この方々を例に出したのは、バリバリゴリゴリの働き方を推したいわけではなく、そんな人たちですらそうなんだ、ということを言いたかったわけです。
そう、ハイパー優秀な人でも、無理なものは無理なんですよ。いや、仮に仕事がなんとかなったとしても、家庭が崩壊するか、子どもの情緒がおかしくなるか、自分が体を壊すか、とにかく必ずどこかに歪みは出ます。
だって時間って限られているから。
いくら実家を巻き込もうと、家事をアウトソースしようと、子どもって生身の人間だし、影響がないことなんてないんです。
がんばれるか、諦めるか、業務の絶対量ってあるんだと思うんですよね。
仕事の目標設計にも通づるな思いました。
ちょっとストレッチすれば達成できるくらいの目標なら、人ってがんばれるんです。でも、もう、こりゃ全然無理だわっていうくらいの高すぎる目標だと、がんばれなくなっちゃうんですよね。
これって会社の(特に営業の)目標設計のポイントだったりもして、高すぎず低すぎず、ギリギリがんばれるくらいの目標にするのが成果につながるのと同じです。
ワーママにとって、じゃあどのくらいの業務量なら大丈夫なのかは、人それぞれだと思います。
だんなさんがどれくらい協力的なのか、子どもは1人なのか複数なのか、実家は近いのか、通勤時間はどれくらいかかるのか。
たくさんの係数がかかるので、仮に同じ能力の人がいても、どこまでの業務量なら対応できるのかは違うと思います。
ただ、そんな諸々の条件の中で、それぞれの「限界を超えるポイント」があるんだと思います。
そして、その限界を超えている状態は、誰にとってもいいことはない。
ワーママ個人にとってももちろんハッピーなことではないし、会社にとっても何もいいことはない。
だって、あんなに頑張って、成果も出してきた人でも、成果を出すことを辞めちゃうんですよ。それって会社にとって損失でしかない。
個人的には、そもそも、残業を前提としている働き方がおかしいと思っているんですけどね。
だって、みんなが定時で帰れるような業務設計であれば、あれほどの優秀な人たちが、少なくとも「諦める」ことはしないと思うので。
これについてはまたゆっくり書きたいと思いますが、長時間労働が諸悪の根源なんじゃないかって思ったりします。
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ってことで。こういうところもだよね、働き方改革。